尾張西国第九番札所、八百比丘尼生誕地
天台宗別格本山。愛知県春日井市の東端に位置し、ご本尊は十一面観世音菩薩である。
当山は養老七年(723年)開創と伝えられている。
伊勢の国、安濃津の商人益直が旅の途次当地を訪れ海中湧出の観音像を拾い上げ帰国するも船が着岸せず、夢のお告げを受けて松島(当地の旧名)の山上に三間四面の堂を設け尊像を安置し「縁福寺」と号した。その後、神亀五年(728年)行基が当地方遊行の折、「圓福寺」の扁額を掲げて改称。
鎌倉、室町時代には七堂伽藍、麓には十二坊を構えたといわれている。
ご本尊をはじめ現存の主な仏像は鎌倉後期頃のものである。室町期は当山の最繁栄時代で仏画、仏具等の寄進も数多く仁王像も永正七年(1510年)に造立された。
天正年間の兵火により大半が焼失衰微をたどったが、ご本尊、仁王像は寺僧の転機によって難を逃れた。その後徐々に再興が図られ、法灯を今日に伝えている。
高蔵寺ニュータウン開発に伴い当山周辺も大きく変貌したが、二万平方メートルの「観音様の森」は全山緑に包まれ、1290年余の昔に観音菩薩が夢告された妙法弘宣の霊地として終日参拝者が絶えない。
本堂ならびに宮殿(厨子)、ご本尊十一面観世音菩薩像、仁王像、毘沙門天立像・不動明王立像、観音堂、柄香炉、前机、十一面観音画像版木、篠木合宿絵馬などが春日井市指定文化財となっている。